杉本家住宅150周年記念事業 重要文化財 杉本家住宅は令和2年4月23日に築150年の節目を迎えました

杉本家が四条烏丸からほど近い現在の綾小路新町西入ルに居宅を構えたのは、1764年(明和元年)のこと。それからちょうど100年が経った1864年(元治元年)、禁門の変(蛤御門の変)に伴う大火により主屋が焼失し、現在の家屋が再建(棟上)されたのは、1870年(明治3年)4月23日のことでした。

棟札に上棟 明治三庚午歳四月廿三日の記載がある

 当時の当主は六代目新左衛門為賢。弱冠27歳で京本店と住まいを失った六代目は、京都中心部が焼け野原となり、4年後には明治天皇が東京へ遷られて、さびれること著しかった中にありながら、復興の気概を持ち、困難に立ち向かいながら6年をかけて再建を果たしました。

 当保存会では、杉本家住宅が再建から築150年の節目を迎える今年、150年振りに初めてとなる大屋根の葺替え工事と経年劣化で損傷が進む敷地西側の高塀の修理工事、および耐震工事に向けて一歩を踏み出します。 

 令和2年は、新型コロナウイルスの世界的大流行にみまわれるという非常事態でありますものの、京町家が毎年約800軒ずつ姿を消していく中で、京都の町衆文化や自然と共生する佳き生活文化を伝える大切な宝物として、この杉本家住宅を未来に継承していかなければならないという志を持って本事業に向き合ってまいります。

 何卒みなさまの温かいご理解、ご支援、ご協力を賜りたく、ここにお願いを申し上げます。

 なお、本来ならば150周年のこの佳き日に、記念行事を催し、日頃よりご支援を賜るみなさまと共にささやかなお祝いの場を設けさせていただく予定でございましたが、非常事態下にあることを鑑み、残念ながら見送ることといたしました。平穏な日常が戻りましたら、あらためてそのような機会を設けさせていただきたく存じます。

 大屋根葺替え工事への寄附金につきましてはこちらをご覧ください。

 令和2年4月23日

公益財団法人奈良屋記念杉本家保存会  代表理事 杉本 千代子

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築150周年を記念し、明治42年の提灯を復刻製作しました

江戸時代から他国店持京商人として商圏を千葉において京呉服商を展開していた杉本家には、明治41年に佐原店を陳列式の新店舗に新ためた大売り出しの際の写真が残されています。軒端に提灯を提げ多くの客で賑わっている様子がみてとれます。

令和2年4月23日に築150周年を迎えるにあたり、奈良屋の往時の賑わいと京町家が職住一体の建物であることを重ね合わせることで、文化財としての京町家を後世に継承する意義の啓蒙に繋がればという思いを込め、当時の提灯を復刻製作しました。